転んで手を衝いた!
イタタタ... 手首がみるみる腫れて痛みも強い。ん?形も変わっているような...と、こんな時、骨折してないかとても心配になるものです。レントゲンを撮ればほとんどの場合は一発で分かりますが、レジャーやスポーツの現場など、おいそれと撮影できない場合が多いものです。 でも症状は待ったなし。骨折なのか、脱臼なのか、捻挫なのか、それとも打撲?肉離れ?見分けて適切に処置しなければなりません。今回は、そんな時の見分け方について解説したいと思います。
見分けるツボは、ずばり"固有症状(こゆうしょうじょう)"にあります。固有症状とは、痛みや腫れなどどのケガにもみられる症状でなく、骨折や脱臼だけにみられる特徴的な症状のことです。 それぞれの固有症状について挙げてみます。
骨折の固有症状
①異常可動性(いじょうかどうせい)・・・ 例)曲がるはずの無い骨の途中が曲がる。
②軋轢温(あつれきおん)・・・骨折した場所で、骨同士がこすれ合い音を出す。(実際にはその振動を手に触れて感じることが多い)
③変形・・・・・骨折した場所がずれたり曲がったりして見える。
④痛みの出方・・・・・骨折部を触ると、ピンポイントで鋭い痛み。動かすと痛むが、安静にしていると痛みが和らぐ。
脱臼の固有症状
①弾発性固定(だんぱつせいこてい)・・・外れた関節が固定されてしまい、正常な位置に戻そうとしても抵抗し、外れた位置に戻ろうとする。
②関節の変形・・・・・脱臼した関節の、骨が外れて位置が変わっていることによる変形。
③安静時痛・・・安静にしていても痛みが和らがない。持続性の痛み。
以上が、骨折と脱臼の固有症状です。
見分け方を簡単にまとめると、
・骨が途中で折れ曲がっていたら ⇒ 明らかに骨折
・関節部の変形 ⇒ 脱臼を疑うが、骨折している場合も
⇒ 動かそうとして抵抗を感じたら脱臼、動くようなら(特にプラプラと)骨折の可能性あり
と言った感じでしょうか。もし上記のような症状がなければ、捻挫や打撲の可能性を考えます。ただし、実際には、骨折があってもはっきりとした固有症状が確認できないことも多いものです。 また、明らかに脱臼や捻挫と思われても、骨折を合併していることもあるものです。
なので、的確な判断には、正確な知識と技術、経験が必要ですので、この見分け方はあくまでも参考程度にしてください。 万一、そういったケガをした場合は、ひとまずRICE法を施して、速やかに専門医へ。(※RICE法:コラム第11回で紹介済 http://jiritsudojo.com/archives/53)