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院長コラム

第57回【モモカン】

更新日:

4月、5月は春のラグビーシーズン。

春季大会やら七人制やら目白押しです。

トレーナーとしてお手伝いに行っておりますが、やはり多いのが『モモカン』です。

①『モモカン』ってなに?

モモカンは、

フトモモに起こった所謂「打ち身」のこと。
私達の業界では「チャーリーホース」とも呼ばれています。
医学的に言えば「大腿筋打撲」や「大腿筋挫傷」となります。
要するにフトモモの筋肉損傷なのですが、多くの場合大腿四頭筋に発生します。

コンタクトプレーは正面からぶつかり合うことが多いからでしょう。
ラグビーやアメフトにおける衝突威力は、ちょっとした交通事故級と言われています。
衝突されたフトモモ君もたまったものではありませんね。
打撲ですから場所的には身体のどこにでも起こり得るのですが、
今回はモモカンを起こす代表である「大腿四頭筋」で解説いたします。

②症状は?

モモカンの症状は「痛み」「機能障害」「腫れ」などです。
患部を触ると痛いのは勿論ですが、
負傷した筋肉に力を入れたり、
ストレッチすると痛みが増強されます。
その為「スムーズに歩けない」「膝を曲げられない」など、機能的な問題が起きます。

また、筋肉が傷つき内出血が発生するために付近は腫れてふくらみ、時には青あざ(皮下出血班)をつくります。
(数日たってから出てくることも多いです)
重症度はこれらを総合的に診て判断するのですが、特にわかりやすいのが膝の曲げ具合。
損傷が強いほど膝を曲げられなくなります。

③「肉離れ」と違うの?

上述の通りモモカンは衝突によって起こります。
つまり、筋肉が押しつぶされるように傷めるのです。
これに対して肉離れは伸張力で傷めます。
筋肉が強烈に引き伸ばされて、耐えられなくなった結果、筋線維が切れてしまいます。
(「筋断裂」と言うように)

これが両者の決定的な違いです。
それぞれ加わった力が違うので当然損傷状態も異なります。
患部を触ってみると、モモカンでは受傷直後になだらかな凹みを感じることもありますが、内出血が急速に発生する為多くの場合腫れにより膨らんでいます。
これに対して肉離れでは、受傷直後でなくても断端部による凹み(ゴムが切れたような)を触知することがほとんどです。

症状的には、両者とも筋肉の損傷に違いないので共通点が多いのですが、肉離れでは「力が入りにくい」と言う訴えがみられることがあります。
(モモカンは「痛くて力が入れられない」)

④ 特殊な初期治療

初期治療は急性外傷の一般処置と同様にRICE法が基本であり、最も重要です。
(当コラム⇒第11回「応急処置RICE法」
初期治療で内出血や炎症をいち早く抑えることで、患部治癒を促進します。
ただし、モモカンの初期治療段階においては他のケガではしない、あることを行います。
それは傷めた筋肉のストレッチです。(肉離れではあり得ない)
傷めた筋肉を伸ばすなんていかにも痛そうですが、それでもなぜ伸ばすのか?

それには大きな理由が二つあります。
モモカンでは筋肉がつぶされてしまう為、治った時にそこが硬くなりやすく柔軟性が顕著に失われる傾向にあります。
一旦そうなってからでは元に戻すのがとても大変。
なので、早期から伸ばしておこうと言うわけです。

もう一つは患部への圧迫力強化が目的です。
膝を曲げて患部側(フトモモ前面)を伸ばすことで、結果として出血部に圧迫が加わります。
そうすることで出血が抑制されます。
これは止血の基本である「圧迫止血」にあたります。
ただし、あくまで愛護的に。
損傷を悪化させてはかえって逆効果ともなりますので、様子をみながら行ってください。

以上のようにモモカンでは特に止血に重点を置きます。
これは合併症「骨化性筋炎※」の予防のためでもあります。
この発症は稀ですが、かかるととても厄介なもので復帰が大幅に遅れてしまいます。
それらを踏まえ、モモカンでは図の様にストレッチしながらの姿位で冷却を行うことが推奨されています。
受傷後しばらくは、様子を見ながら膝の曲げ方を徐々に深めていくとよいでしょう。

※骨化性筋炎・・・発生した内出血から血腫が形成されて、そこにカルシウムが異常集積してしまい、筋肉の中に骨の様な異物が出来てしまうもの。出来ると症状が長引き、膝の屈曲可動性に問題をのこすことも少なくない。

⑤ 通常治療

止血を念頭に置いた初期治療にはじまり、あとは症状軽減に応じて、物理治療・手技療法・ストレッチ・運動療法・と適時適切に治療法を変えていきます。
(このあたりは通常外傷治療通り)
復帰が近づくにつれ、当然運動負荷も上げていきますが、なにぶん強力な大腿四頭筋ですから慎重に進めていく必要があります。
膝がしっかり曲がるようになり(健側膝と比べても)、不安無く以前の速度で走れるようになってから競技復帰するのが望ましいでしょう。

損傷程度によりますが、多くの場合長くても三週間位で復帰していきます。
ただ、これは決してお勧めするわけではありませんが、少々痛くても復帰していく選手が多いのも事実。
皆、騙し騙しやっているうちに気にならなくなるようです。(僕もそうでした…)

しかし、気にならないだけで実はそれが思わぬ動作のクセをつくりだしていることもあるので、決して過信は禁物です。
無意識のクセが思わぬ別のケガを招きます。
専門家に動作チェックなどしてもらいながら復帰を進めるのが理想的です。(あくまで理想ですが)

程度の割に症状が長引いたりする場合は「骨化性筋炎」を発症している可能性もあるので、整形外科など専門機関にて精査してください。

⑥ 私見ですが

僕は、早期から温熱刺激を加えた方が、治りが良いと考えています。
炎症が残っていても、です。
「止血後から」というのが大前提ですが、温熱で患部の血行を促進してあげることで修復に必要な物質がより多く運ばれます。
マッサージも早期から行います。
さすがに受傷早期に患部を直接マッサージすることは避けますが、その周辺の筋肉を緩める柔軟性の改善と、これもやはり血行促進が目的です。
どちらも症状悪化が起こらない程度に観察しながら行って、必要に応じて冷却も入れます。

また入浴時には患部の交代浴を指示します。
温まった患部に冷水をかけて冷やします。
これを何度か繰り返すと、血管運動が活発になることが知られています。
実は僕も毎日実施しています。
痛みや疲れが和らぎます。
真冬は勇気いるけどお勧め。

以上、私見ですが、少しでも早く治るための環境を整える。そのための取り組みでした。

⑦ まとめ

最後に、流れをまとめておきましょう。

ももかん発生 ⇒ 冷却&圧迫止血 ⇒ 様子見ながら血行促進 ⇒ 傷が癒えたら膝曲げ改善 ⇒ 動作パターンをチェック&改善 ⇒ 競技動作へ徐々に復帰 ⇒ 完全競技復帰!

と、これが大まかな流れです。

負荷をかけていく過程で、不安を感じる際にはサポーターなどを使うのも良いでしょう。
(念のため、初期から傷が癒えるまでは、圧迫必須ですよ)

僕は、モモカンを繰り返すような選手には、ショックアブソーバー付きのサポーターやサポーターの下にクッション素材のものを入れるように指示しています。
(反応は良いです)
予防が最も大事ですからね。

『たかがモモカン、されどモモカン。復帰のカギは初期治療』

選手は覚えておいてくださいね。

 

H30/12/29追記)昨今の「アイシング否定論」について書きました。⇒ 第73回【アイシングは必要か?】

モモカン時には内出血が大量になりやすいので、初期にはしっかりアイシングが必要と考えます。
ただし、内出血が止まれば冷却はやめた方が良いと考えます。

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