機能強化の治療院

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院長コラム

第56回『鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)』

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以前取り上げました(第29回【サッカー障害 グロインペイン症候群】)このテーマ。 後の反響が大きく質問等が寄せられました。現在もウチに通院中の、近所の方もたくさんいることから、グロインペインは決して珍しいものでなく、とても身近な故障だと改めて認識しております。なので、再度このグロインペイン症候群について、さらに深掘りして書きたいと思います。少しでも参考になれば。

鼠径部痛症候群

鼠径部とは脚の付け根。ここに起こる痛みの原因は、変形性のものや軟骨性(第47回【股関節唇損傷】)、筋肉性など様々です。そのなかで、鼠径部痛症候群とは何かと言うと、これは器質的に異常の無い鼠径部痛のこと。つまり、骨や軟骨、筋肉などに明らかな構造的損傷が無いのに起こっている鼠径部痛を指しています。鼠径部痛症候群は、特にサッカー選手に多く発症します。他にも陸上やラグビー、野球などでもみられます。サッカーに多いのは、股関節を様々な方向に動かして、足先に強い力が加わる競技特性からでしょう。特に上半身をうまく使えていない選手に多く発症します。(体幹の働きが弱い選手やどこかしら故障していて脚ばかりを使っている選手)

症状

症状は、鼠径部の痛みですが、実際には下腹部、恥骨周囲(睾丸後方)、坐骨など様々な部位に痛みが出ます。ほとんどの場合、日常生活ではそれほど痛みを感じないのですが、運動すると痛み出し、次第に強くなります。(悪化例では日常生活でも)

テスト

股関節唇損傷など他傷病との鑑別が必要です。またグロインペイン症候群でも出来るだけ原因を特定できた方が早期治癒を望めることから、様々なテストを行い分析します。各種テストにおける、傾向を挙げていくと下記の通りです。

≪関節可動域≫・・・・・・・・・・内旋制限が多い
≪徒手筋力テスト≫・・・・・・・外旋・外転筋力低下 クランチや内転で痛み出やすい。
≪インピンジメントサイン≫・・・・陽性 但し疼痛軽度
≪パトリック(FABER)テスト≫・・・陰性 など

股関節の一般的な検査の他に、≪トレンデレンブルグサイン≫や≪スクワット≫などの動作的な機能チェックを行います。そうして得られた情報から、的を絞り、治療に入っていくのです。

治療

治療として、以下の項目が挙げられます。
①患部の痛みを和らげる
②患部周辺の筋肉をゆるめる
③患部関節の適合性を高める
④患部周辺の筋力を高める
⑤体幹部・上肢の安定性及び協調性を高める
⑥競技動作における全身的協調性を高める

当院では、①②③は施術で行い、④⑤⑥は訓練として行います。いずれにせよ、鼠径部痛症候群では特に、身体機能的に患部負担を減じなければ中々治りにくいことから、そのためのトレーニングは必須です。コアスタビリティトレーニングやファンクショナルトレーニングなどを行いながら、再評価を重ね、症状の改善に応じて徐々に協議復帰を進めていきます。

競技復帰

治療で可動性・安定性・協調性の機能回復がある程度得られたら、競技動作のためのトレーニングを行います。負荷は徐々に、段階的に増やしていきます。(下記参照)

歩行 → ジョグ → ラン → ダッシュ → ステップ → ジャンプ

それぞれにジグザグやS字など、様々な動きを加えながら、徐々にレベルを上げていきます。ダッシュしても痛みが出なくなれば、ほとんど再発はしないでしょう。最終的には、サッカーであればキックなどの動作練習を行い、実際の競技に復帰させていきます。

予防

予防に向けては、『可動性・安定性・協調性』を維持することにつきます。要点は以下の通り。

◎股関節の可動域維持
◎外旋・外転筋力を維持
◎体幹力の維持
◎全身的協調運動の維持
◎他部位であっても、股関節負担が増大するような疲労や故障は早期に解消

グロインペイン症候群は、局所ではなく全身的なケアが必須のスポーツ障害です。また、悪化するとかなり厄介なトラブルです。予防ができれば一番良いのですが、もし発症してしまったら、決して騙し騙し競技せずに、全身機能を整えながらきっちり治していきましょう。

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