多くの方が「筋肉を強くしたい」と願っておりますが、現実的にどのように鍛えたらよいかわからない方も少なくありません。「どんなやり方?」「何回くらい?」などご質問をいただくこともしばしばですが、これは一概には言えませんので、その方に合うような伝え方を心掛けています。
ただ、原則はあります。筋肉は、強化したい目的によって鍛え方が決まっています。今回はそのことについて目的別にお伝えしますね。
①『筋肉を太くしたい!』
『筋肉を太くする』、つまり「筋肥大」を目的とする場合です。この場合、トレーニングには強い負荷が必要です。但し、強ければ強いほど良いと言うわけではなく、1~3回くらいしかできないような高強度トレーニングになると、筋肥大は起こりにくくなります。筋肉を太くするにはある程度回数を増やし筋力を発揮している時間を長くした方が効果的で、どのくらいかと言うと約6~15回くらいやっと出来るぐらいの負荷が良いでしょう。それを最低3セットはやりましょう。ポイントは『オールアウト(疲労困憊)』するまでです。ちなみに20回以上できるような負荷では、筋肥大は起きませんので注意してください。
②『筋力アップ!』
『筋力アップ』、つまり「最大筋力を上げる」ことも目的とする場合です。この場合は、前述した「1~3回くらいしかできないような」高強度トレーニングが必要です。これで限界までトレーニングしていくと筋力は15%強くなることが分かっています。(筋肥大も若干起こる)ただ、それも限界があり、それを超えることはできません。それ以上にしたい場合は①の筋肉をもっと太くすることが必要となります。
③『スタミナをつけたい!』
『スタミナ』、ここでは「筋肉の持久力」と定義しましょう。これを鍛える場合、負荷によってかなり変わってきます。反復できる負荷が、8~10回繰り返せるレベルなら個人差はあまり出ません。しかし、もっと軽くなるほど30回しか挙げられない人もいれば、50回以上挙げられる人もいるなど、個人差が大きくなります。これを鍛えるには、その競技特性など目的に合わせた重さでやる必要があります。反復できなくなるまで繰り返すのが基本です。
④『パワーをつけたい!』
『パワー』とは簡単に言えば「馬力」と定義しましょう。馬力とは「一定の時間内で、どれだけ重い物を、どれだけ遠くに運べるか」と言ったような力のことです。これには強い力と速度が必要で、車で言うとレーシングカーがパワーの強い代表格でしょう(バスやトラックは、力は強いが、速度が遅い)。筋肉におけるパワーもこれと同様とお考えください。スポーツなどで、動きに速度が必要な場合は、この筋パワーを高めるべきですが、その為には、筋パワーが最も強くなる40回から50回繰り返せる負荷でトレーニングするのが良いでしょう。
⑤「瞬発力もスタミナもある筋肉を鍛えたい!」
これは④の『パワー』に似ていますね。素早く動く筋肉、「速筋※」を使っての③とも言えます。③でも説明したように、スタミナと言ってもさまざま。重い負荷のトレーニングをしても持久力はつきません。その逆も然りです。瞬発力もスタミナも同時に鍛えるには『ホリスティック法』がおススメです。これは「重い負荷でやった後に50回くらいの負荷でやる」と言う方法です。この方法だと、高出力でのスタミナをつけることが出来ます。また、筋肥大を促進する効果も高いので、瞬発力とスタミナ、ぶつかり合いのための強靭な肉体を要求される競技、例えばラグビーやサッカーなどの選手はやらない手はありませんね。
以上が『筋トレの要点』です。テレビや雑誌の紹介通りに何となくやるのではなく、「その負荷が自分にとって、目的にとって正しいか」を見極めながら鍛えましょうね。(^_^)