甲子園もいよいよクライマックスですね!
球児たちの感動のドラマが連日伝えられております。
さて、今回は、タイムリーに野球で起こる故障について書かせていただきます。『野球肩・野球肘』についてです。「野球で肩が痛くなった・肘が痛くなった」治療の現場では、よく聞く訴えです。また、プロ選手でも、肩肘を手術すると言った話をよく聞きますね。野球は、それだけ肩と肘に負担の大きいスポーツなのです。負担が大きいのは、なんといっても投球動作です。投球時の、関節に加わる負担が軟骨や筋肉を傷めてしまうのがほとんどのケースです。まずは、肩からみていきましょう。『野球肩』で傷める場所は、大きく分けて3つあります。
一つ目は、筋肉です。これは主にインナーマッスルと言う、肩の安定に働く筋肉です。傷めると言っても、筋肉が切れてしまうことから、筋肉の働きが弱まるものまで、程度は様々。治療も、しばらく安静にするだけで良いものから、リハビリ(主にトレーニング)が必要なものまで様々です。
二つ目は、軟骨です。これは主に関節唇(かんせつしん)と言う場所です。これは唇(クチビル)のような形をした軟骨で、肩関節を構成する上腕骨(じょうわんこつ)を包み込む構造になっています。ここがしっかり固定してくれているからこそ、肩は余計に動きすぎたり、簡単に外れたりしないようになっているのです。ここを傷めると換えがききません。したがって致命症となりやすく、手術が必要となったり、場合によっては野球を断念せざるをえないこともあります。
そして三つ目は、骨端軟骨(こったんなんこつ)です。骨端軟骨とは成長期に特有の軟骨で、骨の中に存在し、成長とともに骨に置き換わっていく場所です。骨が伸びる成長期には欠かせないものですが、骨に比べてとても柔らかいため、強い衝撃などがかかると傷んでしまいます。投球動作では、肩を構成する上腕骨(じょうわんこつ)の骨端軟骨に強力な負荷がかかります。そのため、投げすぎたりすると、そこが断裂するように離れてしまうことがあるのです。これを『リトルリーガーズ ショルダー』と呼びます。 多くの場合は、投球の中止を行って負担を無くしてあげさえすれば、順調に治っていきますので早めのケアが望まれます。
主に野球で傷める場所はこの三つですが、これら(特にインナーマッスルと関節唇)が合わさって痛んでしまうこともあります。どのパターンにも共通するのは、『痛いまま投げ続けないこと』です。無理して投げ続ければ、治りにくいどころか、更なる悪化も招きます。肩を安静にする期間、たとえ投げれなくても、できるトレーニングは山ほどありますので、復帰に備え身体をつくって準備しましょう。『できることからやる』ですね!また、同時にフォーム等のチェック&修正をして、予防につなげたいものです。次回は『野球肘』について書かせて頂きます。