「つまずきやすい」
しばしば,そんなお悩みを耳にします。近年、整形外科を中心に『ロコモティブシンドローム』と盛んに言われていますが、この場合の対象者は高齢者。転んでケガして介護対象になるのを予防しようという動きです。でも実際につまずきやすいのは高齢者に限りません。若い方(特に女性)でも、意外といらっしゃいます。(中には学生さんも)
ただし、つまずきやすいと言うのは物理的に “つま先が引っかかって” のことですから、ロコモにせよ、若い方にせよ、何かしらの原因があり、その結果として『つま先が挙がっていない状態』になっているのです。それにはどんな原因が考えられるでしょうか? 以下のものが挙げられます。
1『筋力が足りない』
2『関節が硬い』
3『歩き方』
このどれか、もしくは複数絡まって、つまずきやすくなっているわけです。この内、1と2には関節が関わっています。
具体的に挙げると
・股関節屈曲・・・・・・太ももを挙げる動きが、硬い・弱い
・膝関節屈曲・・・・・・膝を折りたたむ動きが、硬い・弱い
・足関節伸展・・・・・・つま先を挙げる動きが、硬い・弱い
と、代表的な関節で言うとこの三つです。(実際には骨盤や脊柱の動きも)
これらの動きの問題に関する原因はおおよそ決まっています。『硬い』原因には『変形性関節症』や『柔軟性の低下』等があります。中でも、下腿三頭筋(かたいさんとうきん:ふくらはぎの筋肉)が硬くなっていて、つま先を挙げるのを邪魔しているパターンをよくみかけます。この場合はふくらはぎのストレッチ(アキレス腱を伸ばすようにする)が有効です。また、変形性関節症の場合は、関節の動きを良くする“モビリゼーション”等も有効ですが、病状進行例では、その多くが構造的改善が難しいため、サポート(筋力トレーニングや杖の使用など)が必要となることも少なくありません。
一方、『弱い』原因には筋肉や神経伝達のトラブルによる『筋力低下』があります。運動不足の方が圧倒的に多いですが、中には以前神経を患った結果として筋力低下を招いている方もおられます。どちらの場合も“筋トレ!”が必要ですが、原因によっては、まず治療が必要なケースもあります。
話は戻って、3の『歩き方』はどうでしょうか?ここでまず考えられるのは、『足の運び方』です。特に内股歩行など、つま先が下を向きやすい足の運び方によって、つまずきやすくなってしまいます。また、『姿勢』も重要です。代表的なのは“前かがみ姿勢”ですが、試しにこの姿勢で歩いてみてください。脚を挙げにくいのを実感できるでしょう。ちなみに、この姿勢では関節負担が倍増します。(数倍!)つまり3の『歩き方』は、仮に筋力や柔軟性に問題がないとしても、つまずきやすい原因となるのです。やはり、姿勢と動作(フォーム)は大事ですね。
以上のように、『つまずきやすい』についてあくまでも簡単に書かせて頂きましたが、実際には様々な要因が重なって存在することが多いものです。大事なことは、“まず見極める”こと。総合的に原因を見極めて、その上で改善していくことが大事ですね。
あ!そうそう。
中には、そそっかしさからつまずいてしまう“あわてんぼさん”もおられますので心当たりの方はご注意を。意識して、深呼吸する時間をつくりましょう。(^.^)