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院長コラム

第64回【スポーツ現場での救急対応】

更新日:

身体を酷使するスポーツは、ある意味危険と隣り合わせです。

特に身体をぶつけあうコンタクトスポーツでは勿論リスクは高まります。

 

コンタクトスポーツで最も怖いと言えるのが「頭頚部外傷」。

頭頚部には脳脊髄があり、損傷すると生命の危機を含め深刻な事態を招きます。

したがって頭頚部外傷発生時の対応と言うのは極めて重要で、僕もグランドに立つときは常に緊張感を持って選手を観察しています。

 

今回は、頭頚部を含め急性外傷を起こしやすいスポーツの代表格「ラグビー」を引き合いに、スポーツ現場での救急対応について概説いたします。

① 救急対応の原則 

 

救急対応にあたり、まず原則に触れておかなければなりません。

原則としてまず挙げられるのが『A・B・C・D』。

 

A『Airway 気道確保』

B『Breathing 人工呼吸』

C『Circulation 心臓マッサージ』

D『Defibrillation (AEDによる)除細動』

 

ご存知の方も多いことでしょう。

救急対応時は最も怖いのは「絶命」です。

それを避ける為にも、後遺症をより軽度にするためにも「ABCD」は欠かせません。

 

また、下記の原則も忘れてはいけません。

 

・「救命の連鎖」: 「心停止の予防」 → 「早期認識と通報」→ 「第一次救命処置」

→ 「第二次救命処置 心拍再開後の集中治療」

・「安全確保し」:負傷者および救護者の安全確保した上で対応する

・「重症度最優先」:重症度の高いものから優先して確認および処置を行う

・「RICE法」:急性外傷応急処置の基本(11回「応急処置RICE法」参照)

 

上記はスポーツ現場であっても同様で、これらを踏まえた上で対応します。

 

それでは実際の流れを見ていきましょう。

 

② “目”を残す 

 

救急対応でもっとも大事なのは「早期発見」です。

すべてはここから始まります。

負傷者をいち早く発見して処置につなげることがとても重要です。

 

その為にも私達トレーナーは「目」を残します。

選手同士の接触が生じたシーンなど、一旦そこに目線を残して選手の無事を確認してから次のシーンへと移します。

観客は目線の先にボールがありますが、私たちトレーナーは目線の先に選手があると言った感じでしょうか。

したがって、コンタクトプレー発生後などは観客と顔の向きが異なります。

選手に異変があれば、いつでも駆けつけられるよう目を凝らしているのです。

 

③ いち早く駆けつける 

 

負傷者を発見したら、いち早く選手のもとへ駆けつけます。

試合の最中、フィールド内に立ち入るので、他選手とぶつかったりしないように周囲に気をつけながら負傷の元へ急行します。

 

「どこを傷めているか?」

「どんな処置が必要か?」

 

駆けつけながらも負傷選手の観察を続け、必要な処置など想定しながら近づきます。

 

もし頭頚部外傷が少しでも疑われれば、出来るだけ負傷選手の「正面」から近づくようにして、到着後ただちに「頭部固定」を行います。

首を動かすなどして脊髄損傷など深刻な状態悪化を防ぐためです。

 

④ 大まかな評価でふるい分ける 

 

選手のもとに到着したら「状態確認」を行いますが、それにあたり踏まえておくべきことがあります。

 

それは「その場で正確な評価は出来ない」と言うこと。

 

試合中の限られた時間の中では詳しく評価することは不可能です。

また、急性外傷と言うのは症状が時間とともに刻々と変化していきやすいものです。

 

したがって、その場ですべてを評価しようとしても土台無理な話で、実際には下記のように「大まかな評価でふるい分け」して対応するようにします。

 

「重症が疑われる ⇒ その場から動かさない方が良さそうだ ⇒ そのまま対応」

 

「重傷疑い ⇒ 動かしても大丈夫だがプレーは無理 ⇒ フィールド外へ退場」

 

「軽症 ⇒ すぐに処置が出来る ⇒ その場で処置 ⇒ プレー復帰」

 

「軽傷 ⇒ 処置に時間がかかる ⇒ 一旦退場 ⇒ 処置後復帰」

 

 

また、選手の状態がつかめたらコーチ陣に報告するようにします。

選手交代や戦術の変更など、チームとしての様々な決断がそこでなされるからです。

公式戦など試合では、たとえ負傷者が出たとしても試合はその後も継続されますので、常に試合の流れを念頭に置きつつ対応を進めなければなりません。

 

ただし、頭頚部外傷など重傷が疑われ、その場から動かさない方が良いと判断されれば、レフリーに一刻も早く伝えて試合を一旦止めてもらうことも重要です。

何よりも選手の命が最優先です。

 

 

⑤ 応急処置 

 

次はいよいよ「応急処置」の出番です。

前述したように処置時間が短くて済みそうであればその場で処置を行いますし、時間がかかりそうであれば一旦外へ選手を出します。

 

試合中にしばしば遭遇する外傷とその処置は以下の通り。

 

・打撲 → 冷却、テーピング

・出血 → 圧迫止血、洗浄、吸収ガーゼ、絆創膏、テーピング(ガーゼ等固定)

・鼻血 → 圧迫止血、洗浄、鼻詰めガーゼ

・足首の捻挫 → 冷却、テーピング固定

・指脱臼 → 整復、テーピング固定

・足の攣り → ストレッチ

・バーナー症候群 → 冷却

・腰痛 → 冷却、テーピング

・脳震盪(疑い含む) → 退場、安静、経過観察

・肉離れ → 退場、冷却、安静固定

・骨折・脱臼 → 退場、整復、安静固定、冷却

 

上記外傷のほとんどはその場で処置を済ませてしまうことが多いですが、

 

重症レベルや処置の難易度は遭遇してみなければわからないことも少なくありません。

特に脳震盪など、判断に困ったり、処置に時間を要する場合はためらうことなく(一時)退場させて、その上で必要な検査・処置を行います。

 

急性外傷は仮に同じ負傷だとしても、初めて遭遇する毎回異なる傷病と心得て、

その時々臨機応変で対応しなければなりません。

 

 

⑥ 「緊急度の高い状態」 

 

応急処置にあたり、緊急度が高い、危険な状態についても知っておくべきでしょう。

下記の徴候が見られたら「救急搬送」が必要になります。

 

≪緊急度の高い状態≫

〇意識障害:「呼びかけても開眼しないか、開眼するが呼びかけないとすぐに閉眼」

〇異常呼吸:呼吸無し、いびき、喘ぎ呼吸、奇異呼吸(胸郭や腹部もチェック)

〇脈拍異常:頚・大腿・橈骨動脈で強さやリズムチェック。

( 【触れやすさ】  頸動脈 > 大腿動脈 > 橈骨動脈 )

〇頚部の圧痛:頚椎骨折の疑い

〇頚部の変形:重度の骨折・脱臼の疑い

〇大量出血:出血性ショック注意

〇手足の麻痺や感覚異常:脊髄損傷疑い

 

これらの徴候がみられれば、レフリーに伝えて、「周囲に助け」を呼び、「救急車」と「AED」を手配します。

その上で、必要に応じて「ネックカラー」や「スパインボード」で固定を行い、フィールド外へ搬送します。

万一、呼吸や脈など心肺機能停止があれば、速やかに「CPR(心肺蘇生法)」を行います。(AEDがあれば最優先で装着)

その際には他の救護者と協力しながら、救急隊が到着するまでCPRを継続します。

 

以上、ここまでが概説となります。

「頭頚部外傷」や「CPR」については、このコラムでもう少し詳しく書いていきます。

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