「つらい...」と感じられている方が最も多い疾患って、何かご存知ですか?
そうです!それが今回のテーマの“腰痛”です。
国民生活基礎調査における厚生労働省の発表によると、有訴者(病気やケガ等で自覚症状のある人)の総合第一位が腰痛だそうです。(男性第一位、女性第二位)
なぜこんなに腰痛に悩まれる方が多いのでしょうか?
スカスカ
そもそも腰は、構造的に大きな弱点があります。身体の基礎、骨格をみれば一目瞭然です。
体幹部(胴体)を見た時に、胸付近には肋骨があり、お尻周りには骨盤骨が存在し、骨格が、かご状になっているのが分かります。
それに比べて、腰まわりはどうでしょうか?
腰には一本の背骨(腰椎)だけしか存在せず、まわりはスカスカですね。
その上、人は直立二足歩行をする、地球上で唯一の動物です。四足動物と違って、二本脚で立つために上半身の重みはすべて腰が受け止めています。
しかも、それだけではありません。
腰は折れ曲がるのです。腰は、上半身の重みを支えながら、左右前後、そして回転と、あらゆる方向に動くのです。
これだけの大仕事を一本柱でやるわけですから、故障しやすいのもうなずけますね。
強力サポーター
但し、腰には強力なサポーターがいます。それは腹筋背筋を代表とする強力な体幹筋です。柱一本しかない腰を、筋肉達が周囲に壁をつくって、上半身の重みを受け止めつつ、そして、腰を動かしていくのです。
だからこそ、腰は一本柱でも成り立つことができるのです。“体幹”と言えば、最近プロスポーツ選手もかなり意識していますね!
腰痛パターン
しかし、その強力サポーターも、いつも同じように助けてくれるとは限りません。
姿勢不良や運動不足によって簡単に弱ってしまいます。特に、長時間のデスクワークや、便利さ故に運動量が少ない現代日本では、放っておくとみるみる弱ってしまいます。中でも、間接的に腰を支えるお腹周りの筋肉が弱りがちで、直接支える背筋との筋力バランスが大きく崩れてしまいます。
その結果、背筋を含む腰の負担は大きくなり、それによる疲労が度を超すと発症するのです。これが腰痛で最も多いパターンです。
この場合、筋肉に起きた炎症であれば炎症が引けばよいでしょう。しかし、同時に骨や軟骨、靭帯などほかの組織も傷めてしまうケースも結構あります。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、変形性脊椎症(腰椎症)、分離すべり症などが代表的です。
これらにはそれぞれ特徴的な発症パターンはありますが、どの疾患も姿勢や筋力の問題はとても大きく影響します。
だからこそ整形外科で共通して「姿勢に気をつけなさい」や「腹筋を鍛えなさい」と指導されるのです。これは腰の安定にとって欠かせない大原則なのであります。
つまり、ここをおさえなければ、仮に腰痛が治ったとしても、再発を繰り返すことになります。但し、それもやり方次第。自分にあった正しい方法をしていかなければなりません。
自分にあったやり方で
前回も書きましたが、僕自身が、その大切さを痛感した一人です。数年前、椎間板ヘルニアを患い、坐骨神経痛も発症しました。
その時は、医学書的なセオリー通りのことを中心に治療しました。改善してくると、やはりセオリー通りに腹筋を鍛えていました。
しかし、再発してしまいました。しかも三回もです。
結局答えは自分の腰を良く知ることでした。自分の身体機能の課題を知り、そこを改善する体操やトレーニングを続けることで再発しなくなりました。
それどころか、今では、発症以前よりも腰はずっと調子が良いです。僕は今の自分なりのやり方に手応えを感じています。
腰痛に限りませんが、医学的セオリーを始めとする外部からの情報はあくまでも参考にすぎません。大切なのは、ご自分の課題を明確にして、その上で自分に合った安全で効果的なやり方を選択することです。
そのためにも、最初覚えるまでは、自己判断に偏らないように専門家に相談されることをお勧めします。それが確実な一番の近道です。
再発を繰り返えすようなしぶとい腰痛でお悩みの方は、決して“騙し騙し”でやり過ごさずにトライしてみてくださいね。きっと改善するはずです(^o^)